Q. 亡くなった人の借金を調べるにあたって、何から、どのように調べたらいいのでしょうか?
父が先日亡くなりました。
父は生前、個人で事業を行っていて、病気を患ってからは資金繰りで苦労していたようです。
今後、父の名義になっている自宅マンションを私の名義に変えようと思っていますが、私が心配しているのは、父の借金のことです。
どこから、いくら借りていたのかが分からず不安です。
父の借金を調べるにあたって、何から、どのように調べたらいいのでしょうか?
A. 金融機関に対する個人の借入金については、信用情報機関に開示請求をすることによって、どこから、いくら借りているのかを調べることができます。
また、親族や知人からの借金については、契約書や借用書、不動産の登記簿謄本などを調べることになります。
銀行の借り入れやカードローンなど、金融機関に対する個人の借入金については、信用情報機関に開示請求をすることによって、どこから、いくら借りているのかを調べることができます。
信用情報機関とは、個人信用情報の収集および提供を行う機関で、国内には、
- 全国銀行個人信用情報センター(銀行系)
- 株式会社シー・アイ・シー(クレジット会社系)
- 株式会社日本信用情報機構(貸金業者系)
の3つの機関があります。
1. 全国銀行個人信用情報センター(銀行系)
全国銀行個人信用情報センターは、一般社団法人全国銀行協会が設置、運営している個人信用情報機関になります。
こちらに本人開示請求を行うことで、加盟している金融機関からの借り入れ等の内容や、支払状況などを確認することができます。
開示請求は、同センターへの郵送による申込みでのみ受け付けています。
こちらのページの「法定相続人(ご本人が亡くなっている場合)」の箇所を参照し、必要書類等を揃えて、送付先に郵送します。
(開示手数料として1,000 円分(消費税込)の定額小為替を同送します。)
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本人開示の手続き | 全国銀行個人信用情報センター
1週間から10日ほどで開示報告書が送られてきます。
2. 株式会社シー・アイ・シー(クレジット会社系)
株式会社シー・アイ・シーは、主に割賦販売や消費者ローン等のクレジット事業を営む企業を会員とする信用情報機関になります。
こちらに本人開示請求を行うことで、加盟している会員会社(クレジット会社等)との契約内容や、支払い状況等の信用情報を確認することができます。
開示請求は、同社への郵送、または、窓口での申込みで受け付けています
郵送の場合は、こちらのページの「法定相続人(本人が亡くなっている場合)」の箇所を参照し、必要書類等を揃えて、送付先に郵送します。(開示手数料として1,000 円分(消費税込)の定額小為替を同送します。)
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郵送で開示|自分の信用情報を確認|指定信用情報機関のCIC
10日ほどで開示報告書が送られてきます。
窓口に行く場合は、こちらのページの「法定相続人(配偶者・子のみ)本人が亡くなっている場合」の箇所を参照し、必要書類等を揃えて、「窓口一覧」の箇所を参照のうえ、最寄りの窓口に出向きます。
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窓口で開示|自分の信用情報を確認|指定信用情報機関のCIC
窓口で申し込みと本人確認手続きを行い、開示報告書を受け取ります。
(窓口に行く場合の開示手数料は、500円(税込)となります。)
3. 株式会社日本信用情報機構(貸金業者系)
株式会社日本信用情報機構は、主に消費者金融等の貸金業者(ノンバンク)系の信用情報機関になります。
こちらに本人開示請求を行うことで、加盟している貸金業者等との契約内容や、支払い状況等の信用情報を確認することができます。
開示請求は、同社への郵送、または、窓口(東京・大阪のみ)での申込みで受け付けています
郵送の場合は、こちらのページの「亡くなられた方の開示手続き」の箇所を参照し、必要書類等を揃えて、送付先に郵送します。(開示手数料として1,000 円分(消費税込)の定額小為替を同送)
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郵送による開示手続き |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報
窓口に行く場合は、こちらのページの「亡くなられた方の開示手続き」の箇所を参照し、必要書類等を揃えて、「受付窓口」の箇所を参照のうえ、東京開示センター(台東区北上野)、または、大阪開示センター(大阪市北区堂島)に出向きます。
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窓口での開示手続き |日本信用情報機構(JICC)指定信用情報
窓口で申し込みと本人確認手続きを行い、開示報告書を受け取ります。
(窓口に行く場合の開示手数料は、500円(税込)となります。)
4. 親族や知人などからの借金
親族や知人などからの借金については、遺品の中に契約書や借用書などがないかどうかを調べます。
また、時効が成立していないかどうか、返済状況を記したメモや、領収書などがないかどうかを調べます。
亡くなった方名義の不動産がある場合は、法務局で登記簿謄本を取得して、
- 根抵当権などの担保権が付いていないか
- 所有権移転の仮登記がされていないか
- 差押えの登記が入っていないか
などを調べることになります。
5. 専門家に依頼する方法もある
なお、
- 仕事が忙しくて自分で調べる時間がない
- 相続放棄の期限(相続の開始を知ったときから3か月以内)が迫っている
場合は、弁護士のほか、相続実務に長けた行政書士や司法書士に個人の借金の調査を依頼する方法もあります。
当事務所では、これまで多くのお客様の相続手続きをサポートしております。
どうぞお気軽にご相談ください。
以上、ご参考になさってみてください。