Q. 亡くなった人名義の預金の相続手続きを行うにあたって、何から、どのように調べたらいいのでしょうか?
地方の実家で暮らしていた母が亡くなり、長女である私が、これから相続手続きを進めようと思っています。
お恥ずかしながら、母がどこの銀行と取り引きがあったのか、どこの銀行に口座を持っていたのか、私はあまりよく把握していませんでした。
これから母名義の預金の相続手続きを行うにあたって、何から、どのように調べたらいいのでしょうか?
A. まず、手がかりとなる資料を整理します。
その後、戸籍謄本等を持参のうえ、各金融機関の窓口で残高証明書を発行してもらい、相続手続きで使用する書類をもらいます。
まず、手がかりとなる資料を整理し、その後、戸籍謄本等を持参のうえ、各金融機関の窓口で残高証明書を発行してもらい、相続手続きで使用する書類をもらいます。
1. 手がかりとなる資料を整理する
手がかりとなる資料とは、例えば、
- 通帳
- キャッシュカード
- 定期預金等の証書
- 出資証券
- 金融機関から届いているハガキや封書
などになります。
中には、すでに預金をすべて下してしまっている金融機関もあるかもしれませんが、通帳に解約印が押してあるなど明らかに口座自体が無い場合などを除いて、まだ預金等が残っている可能性があります。
なお、最近では、ネット銀行に口座をお持ちの方もいらっしゃると思います。
必要に応じて、パソコンや携帯電話などに金融機関から定期的にメールが届いていないかどうかをチェックします。
2. 戸籍謄本等を取得する
金融機関に出向く前に、
- 亡くなった方の死亡の記載のある戸籍謄本
- 亡くなった方の相続人であることを証明できる戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本等
を取得します。
調査の段階では、まずは上記の戸籍謄本等を集めれば大丈夫です。
なお、実際の解約手続きの際は、通常は、
・亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・遺産分割協議書
などが必要になります。
※各金融機関によって取り扱いが異なりますが、解約する金額が少額の場合は、提出する書類を簡素化できることがあります。
3. 各金融機関に残高証明書を発行してもらい、相続手続きで使用する書類をもらう
上記2. で集めた
- 亡くなった方の死亡の記載のある戸籍謄本
- 亡くなった方の相続人であることを証明できる戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本等
に加えて、
- 金融機関に出向く人の本人確認書類(写真入り身分証明書等)
- 金融機関に出向く人の実印
を持参して、各金融機関に出向きます。
金融機関に到着したら、受付の人に、「相続手続きで初めて来ました」と伝えます。
すると、担当の方が対応してくれることが多いです。
担当の方には、
- 預金者が亡くなったこと
- 自分が相続人の1人であること
- 残高証明書が必要であること
(※遺産分割協議が不要な場合や、相続税申告が不要な場合など、残高証明書を取得しないで済むケースもあります。) - 今後の手続きで必要となる書類を教えてほしい旨
を伝え、持参した戸籍謄本等を提出します。
またこのとき、もし通帳があれば、記帳も一緒にお願いしましょう。
ちなみに、このとき提出した戸籍謄本等は、金融機関でコピーを取って、その場で返却してもらえます。
★注意点
金融機関に預金者が亡くなったことを告げた時点で、通常は、亡くなった方の口座が凍結され、以後は相続手続きを行わないと預金等を下ろすことができなくなります。
また、銀行以外にも、亡くなった方の生活圏内にある
- 郵便局(ゆうちょ銀行)
- 信用金庫
- 信用組合
- JA(農業協同組合)
などの金融機関についても、心当たりがあれば確認してみると良いでしょう。
なお、仕事で忙しい、遠方など、金融機関に出向くことが難しい場合は、多くの金融機関で郵送での手続きに対応しています。
その場合は、各金融機関に電話をして、手続きに必要な書類を取り寄せます。
4. 専門家に依頼する方法もある
なお、
- 金融機関が複数ある
- 金融機関が地方にある
- 自分で金融機関とやり取りする時間がない
場合は、相続実務に長けた行政書士や司法書士に預貯金の調査を依頼する方法もあります。
当事務所では、これまで多くのお客様の相続手続きをサポートしております。
どうぞお気軽にご相談ください。