Q. 子供が生まれたタイミングで、遺言書を作成するべきでしょうか?
昨年マイホームを購入し、今年、念願の第一子を授かりました。
子供のことを考えると、親としての責任はもちろんですが、自分が万が一のときに相続手続きはどうなるのかと考えるようになりました。
子供が生まれたタイミングで、遺言書を作成するべきでしょうか?
A. 遺言書を作成しておくと、万が一あなたに相続が発生した際、残された配偶者が円滑に相続手続きを行うことができます。
未成年の子供も、あなたの相続人です。
もし、遺言書を作成しないであなたに相続が発生した場合、奥様とお子様との間で遺産分割協議を行う必要があります。
もっとも、未成年の子供の法定代理人として法律行為(遺産分割協議)を行うのは、親である奥様です。
そうなると、奥様は、子供の法定代理人として、自分自身と協議をすることになってしまいます。
これでは、奥様とお子様との間で利益相反が生じ、子供の相続人としての利益が損なわれてしまう恐れがあります。
このような場合、つまり、親権を行う父または母とその未成年の子供との間で利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子供のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません(民法826条1項)。
また、子供が2人以上いるときは、1人ずつ、それぞれに、特別代理人選任の申立てを行う必要があります。
そして、遺産分割協議は、親権を行う親と、子供の特別代理人との間で行われることになります。
なお、未成年の子供がいるにもかかわらず、特別代理人の選任をしないで行われた遺産分割協議は、無権代理行為となり、未成年の子供が成人に達した後に追認しない限りは無効となってしまいます(民法113条)。
この点、子供が生まれたタイミングで遺言書を作成しておけば、万が一のときに残された配偶者が上記のような面倒な手続きを行う必要はありません。
あなたの財産に、不動産や、まとまった金融資産がある場合は、遺言書を作成することをお勧めします。
【関連リンク】
裁判所|特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)
以上、ご参考になさってみてください。