相続法改正⑥ 遺産分割協議前の預貯金の払い戻し制度と計算例

こんにちは、財産承継コンサルタント/行政書士の鉾立です。

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平成30年7月6日、民法の一部(相続法)を改正する法律が成立しました。

今回は、遺産分割に関する見直しのうち、遺産分割協議前の預貯金の払い戻し制度について解説します。

改正前は、葬儀費用の支払いや当面の生活費、相続した債務の返済などがある場合でも、亡くなった方の預貯金の口座は凍結され、相続人全員の遺産分割協議が終了するまでは原則として払い戻しはできませんでした。(少額の預金であれば払い戻しに応じる金融機関もあります。)

今回の改正により、各相続人は、亡くなった方の預貯金のうち、各口座ごとに次の計算式で求められる額(ただし、同一の金融機関での預貯金払い戻しは150万円を限度)までについては、他の相続人の同意がなくても、単独で払い戻しをすることができるようになります。

 


 【計算式】

単独で払い戻しをすることができる額 =
(相続開始時の預貯金の額)× 3分の1 ×(当該払い戻しを求める相続人の法定相続分)


 

【計算例】

例えば、

亡くなった方: 母
法定相続人: 長男A、長女B
預金: A銀行に1200万円

のケースの場合。上記の計算式に当てはめると、

1200万円 × 3分の1 × 法定相続分 2分の1 = 200万円

ただし、同一の金融機関での預貯金払い戻しは150万円が限度となるため、長男Aは、A銀行に対して150万円までの範囲で預金の払い戻しを請求することができるようになります。

 

なお、この遺産分割協議前の預貯金の払い戻し制度は、2019年(令和元年)7月1日から施行されています。

 

以上、ご参考になさってみてください。

 


 

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