◆登場人物
・Aさん(父、90歳)
・Bさん(長女、62歳)
・Cさん(長男、60歳)
◆Aさんの財産
・自宅不動産 5000万円
・金融資産 2000万円
5年ほど前に、Aさんの奥様に相続が発生。
遺産分割協議の結果、Aさんの奥様の財産は、夫であるAさんがすべて相続することになり、当事務所で金融資産の解約手続きと、自宅不動産の名義変更手続きをサポートさせていただきました。
その後、自宅に同居していた長男Cさんは、将来のAさんの相続の際に自宅は自分が相続したいと考え、父Aさんの遺言作成について当事務所に相談されました。
長男Cさんのリクエストに応じてAさんに遺言の作成手続きについてお話させていただいたところ、Aさんは、「子供達は揉めることはないでしょうから。まあ大丈夫でしょう」とのこと。
そのまま月日が過ぎて、3年後、遺言を作らないままAさんに相続が発生しました。
遺言がない場合は、相続人である長女Bさんと長男Cさんで遺産分割協議をする必要があります。
当初は、長男Cさんが主張する
・自宅不動産は同居していた長男Cが相続
・金融資産は同居していた長男Cが7割、長女Bが3割で分割
という案で協議がまとまりかけましたが両親の介護や、過去の生前贈与に関する話を発端に長女Bさんの怒りが爆発。
長女Bさんは、自宅不動産を売却し、Aさんの遺産を法定相続分(姉弟2分の1ずつ)で分けるべきだと強く主張されました。
お互いの主張が平行線となり、話し合いもできない状況に。
もうこうなると遺産分割協議では話がまとまらず、お互い弁護士をつけて家庭裁判所で調停を行うことになりました。
今回の「遺言を作成していなかったケースの相続トラブル事例」、いかがでしたか?
片方の親の相続の際は抑えられていた不満が、もう片方の親に相続が発生した際、重しがとれて、表に出てくることがよくあります。
生前から相続人間でコミュニケーションをとっておくことももちろん大事ですが、親が一人になったら、そのタイミングで遺言の作成を検討すると良いでしょう。
以上、ご参考になさってみてください。