Q. 遺言書を作っているかどうかを調べる方法はあるのでしょうか?
生涯独身だった叔母が亡くなり、姪である私が相続手続きを行っています。
叔母は生前、「遺言書を作ろうと思っている」と話していました。
叔母が遺言書を作っているかどうかを調べる方法あるのでしょうか?
A. 公正証書遺言の場合は、「遺言検索システム」を利用することで遺言書作成の有無が分かります。
また、自筆証書遺言の場合は、「遺言書保管制度」を利用しているかどうかがポイントになります。
遺言書には、大きく分けて、公証役場で作成する公正証書遺言と、自分自身で書いて作る自筆証書遺言があります。
それぞれの遺言書について、本人が作っているかどうかを調べる方法を解説します。
公正証書遺言の場合
まずは、このページの下部にある
に例示した場所・人などについて確認することになるでしょう。
その上で遺言書が見つからない場合は、公証役場の「遺言検索システム」を利用すれば、日本全国の公証役場で、公正証書遺言を作成したかどうかを調べることができます。
また、「遺言検索システム」で公正証書遺言が作られていることが分かった場合、相続人等の利害関係人は、公正証書遺言の謄本を公証役場に請求することができます。
なお、全国単位で公正証書遺言を一括検索できるのは、平成以降に作成された遺言書に限られます。
昭和以前に作成された遺言書は、遺言書を作成したと思われる公証役場に個別に問い合わせることになります。
※ご参考 公証役場一覧 | 日本公証人連合会
「遺言検索システム」(公正証書遺言の謄本請求)を利用することができる人
遺言者の存命中は、秘密保持のため、本人の委任状がない限り、本人以外の人からの照会に対しては一切回答してもらえません。
遺言者が亡くなった後は、相続人、受遺者、遺言執行者、それらの方から委任状をもらった代理人が、「遺言検索システム」を利用することができます。
相続人が「遺言検索システム」(公正証書遺言の謄本請求)をする際に必要な書類
相続人が「遺言検索システム」(公正証書遺言の謄本請求)をする際に必要な書類は、以下の通りとなります。
- 遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本
- 遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本
- 請求者の本人確認書類
※下記A、Bのどちらか
A. 印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)+ 実印
B. 運転免許証、パスポート、個人番号カード、住民基本台帳カードなど、官公署発行の写真入り身分証明書(いずれか1点、有効期間内のもの)+ 認印
「遺言検索システム」(公正証書遺言の謄本請求)の手数料
「遺言検索システム」の利用料は無料です。
公正証書遺言の謄本を請求する場合は、ページ1枚につき250円となります。
自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言の場合は、遺言書保管法(2020年(令和2年)7月10日(金)施行)による「遺言書保管制度」を本人が利用しているかどうかがポイントになります。
「遺言書保管制度」を利用している場合
「遺言書保管制度」は、全国300か所以上ある法務局が自筆証書遺言を預り、管理する新しい制度です。
この制度により、
・遺言書の紛失や改ざん等の防止につながる
・遺言書の存在の把握が容易になる
といったことが期待されています。
「遺言書保管制度」では、本人が亡くなった後に、相続人や受遺者等は、法務局に対して、遺言書の原本の閲覧や、遺言書の画像情報等を用いた証明書(遺言書情報証明書)の交付を請求することができます。
(遺言者の存命中は、遺言者以外の人は、遺言書の閲覧等を行うことはできません。)
なお、法務局は、遺言書情報証明書を交付し、または、相続人等に遺言書の原本を閲覧させたときは、速やかに、当該遺言書を保管している旨を、遺言者の相続人、受遺者、遺言執行者に通知することになっています。
「遺言書保管制度」を利用していない場合
「遺言書保管制度」を利用しておらず、本人が生前に遺言書の保管場所を相続人に伝えていない場合は、次の場所、人などについて確認することになるでしょう。
- 自宅のタンス
- 机の引出し
- 自宅の金庫
- 通帳や印鑑など本人が大事なものをまとめて入れているケースやファイル類
- 銀行の貸金庫
- 親族
- 病院
- 介護関係者
- 懇意の専門家(顧問税理士、行政書士など)
【参考記事】
相続法改正② 法務局における遺言書の保管等に関する法律について